大企業の社長ともなると、社長室にこもりっきりでなかなか社員と気軽にコミュニケーションなどとらない。
下々の者は直属の上司からの指示で動かして、自分は役員会議で指揮をとる。
むしろそうすることで威厳を保つ、みたいな風潮は、もう一昔前のことなんでしょう。
会社によりますが、わりとよく聞くのは、「社長なのに意外とフレンドリー」みたいな話だったりします。
単にガラス張りの経営とか、そんな体裁の話じゃないです。
そうじゃなくて、今回の記事は、「社長のちょっとしたお悩み相談コーナー」、的な話。
うーん、我ながら、ちょっとすごい記事だなぁ。笑
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目次
執務フロアを散歩する社長
書き始めて、あまりにもリアルなネタだということをもう即感じてます(^^;)
なので、本当に言いたいことがブレない限り、細かいところはちょっと言葉を選びますね。
匿名トレーダーとしては、そこは、ご容赦ください。
・・・よくあるパターンとしての話、なんですが。
ぼくの勤め先の社長は、わりとよく「散歩」をしているんですね。
散歩と言っても、社内のフロアで、です。
もちろん、ご本人自身の表現が散歩なわけであって、実際にヒマだからウロウロしているとか、運動不足だから歩いている、とかいう話ではありません。
そこは、まぁやっぱりいろいろと目的があるんですよね。
このへんは、社会人のみなさんには、なんとなく想像していただければ、そうずれていないとおもいます。
学生の方でこの記事を読んでくれている方は、「そういうものか」と思ってもらえれば、それでOKです。
ホウレンソウで回る毎日!
で、ですね、その「散歩」の目的のひとつに挙げられるのが、「実動部隊」の空気感を得ることなんですよね。
実動部隊の空気っていうのは、つまりは担当レベルの稼働状況ですよね。
組織って、とても大きいわけです。
そういう中にあっては、やっぱり部長は役員の顔を見て報告を上げ、課長は部長の顔を見て報告を上げる。
これはもう、一家の主という立場としては、「しょうがないでしょ」「そういうもんだ」の世界なわけです。
ちょっとでも歯向かったら、上司に怒られちゃいますし、それでお給料下がったら、今度は自宅で奥さんに怒られちゃいますからね。
いいことないわけです。
当然、みんながみんなそんな心持ちではないですが、一般論ですよね。
得てして、こんな風に会社って回ってます。
いわゆる、報告・連絡・相談(ホウレンソウ)の嵐です。
あまり最近はホウレンソウって言わなくなってきてるらしいですが、ぼくの勤め先ではわりとまだまだ「大事だ!」って言う人は多いです。
ホントはどうなんだい?担当くん
当然、社長もそのことはわかってます。
相談して、うまく話をまとめて自分のところまで現状の報告が上がってきているのだ、ということもわかっています。
それが組織人としてのパフォーマンスなのだ、ということも、ご自身が生え抜きであれば特に、身に染みてわかっているわけです。
それはそれでいいんです。
が、なにかの事情で、担当レベルの見解を直に見たり聞いたりする必要があるときも、あるんですね。
それがどういうときなのか?とか、どういう目的なのか?というところまでは、ぼくははっきりとは知りません。
知らないですが、そこはなんとなく想像はつきますよね。
少なくとも、組織のトップの人が自分のところまで足を運んでなにか言葉を放つのなら、しれっとしつつも、実際は全身全霊でその言葉を聞きます。
意図を慮りながら。
社長にジョークをかます先輩
ぼくが入社した最初の年なんかは、ぼくの指導役の先輩がたまにそういう事態に陥ってたんですよね。
まぁ、「陥る」とか書いちゃうと、めんどくさいことみたいですが。
まぁ、実際にめんどくさいっておもっちゃうこともあるし、いいですかね。笑
・・・こういうことがあったんです。
社長がぼくの先輩のところに来て「ドル円はいつ150円になるのかなぁ。」と。
これに対しての先輩の返しが、コレ。
「わかりました。明日には150円にしましょう。」
社長はこれを聞いてすごくうれしそうだったんですよね。
「はっはっは。」
って笑って、先輩の背中をバンバンと2回叩いて歩き去っていったんですよ。
周りも、ちょっと和みますよね、こんな会話が聞こえてきたら。
サラリーマンならではの事情とは?
今でこそもう担当として最前線に立ってしまってるので、あまり業務内容に関することを記事にはできませんが、こういう話はちょくちょく書けますよね。笑
特に1年目なんて大学生に毛が生えたような状態で毎日を過ごしているので、こういうインパクトの強い出来事って、わりとおぼえているものなんです。
この話、みなさんはどう思います?
まず、明らかに先輩の返事は冗談ってことはわかりますよね。
超能力者でもない限り、ドル円チャートを意のままに操ることなど、できません。
それなのに、なんで先輩はこんなふうに返したか?
もうこのへんは、大人の事情ですよね。
まず、意味もなく社長が多忙な為替担当に話しかけたりなど、あまりしないものです。
それなのに、このときは話しかけた。
それから、そのときは、課長がいなかった。(先輩の直属の上司が課長)
そして、これが一番大事。
執行役員会議を翌日に控えている、というタイミングで、この展開だった。
こういう感じなわけです。
飲み会のことしか考えてないDakar
当のぼくは、そのとき「おー、社長うれしそうだなー」みたいに思ってただけでした。
でも、去り行く社長から先輩に目を移すと、そこにはけっこう険しい顔が。
「あ、ヤバイ」って感じで、ぼくはその場は平静を装ってたのを覚えています。
変な仕事ふられて残業強いられでもしたら、アフターファイブに支障が出ますからね。笑
で、肝心なのは、この話の後日談なんですよ。
数日後に、仕事がひと段落してたタイミングがあって、そのときにたまたまこの「社長お散歩の話」になったんですよね。
もう周りはみんな帰ってて、先輩とぼく2人だけで残業してたときで。
ブツ切れで会話してるので要点だけまとめると、事の真相はこんな感じだったんです。
「あのときは決算月の役員会議前だっただろう。たぶん現場(この場合の現場っていうのは、為替相場を監視している部門のこと)がダイレクトに思っていることを感じたかったんじゃないかな。社長にメールしといたよ。」
先輩の話し方そのままのほうが書きやすかったので、そのまま書いてみました。
外国為替決済のタイミングをはかる社長
つまりですね、そもそも為替変動の予想ラインって、不確実性が高いものなので、経営計画の資料とかに具体的な策として載せるようなものではないんですよね。
そういう中で、社長が知りたいのは、社内で一番為替事情に精通しているスペシャリストは、実際のところどうおもっているのか?ということだったんです。
これは、担当に直に聞くことで、本当に混じりけのない、純粋に為替相場を分析した結果を聞くことができますよね。
さまざまな気配りを経て社長まで上がってきた数字というのは、大事をとって、かなり円高方向に想定されていることが多いんです。
ぼくの勤め先の場合、海外での稼ぎで円を買って社員の給料に充てるという構図になるので、局面によっては契約社員の方や嘱託の方の給料は目減りしたりするものなんですね。
もし社長のこの時の意をくみ取っただけでその場でどんどんドル円の話とかはじめたら、下落局面の話ではこういうことも周囲の人に連想させるような話になってきます。
当然、あの場ではこんな話はできないですよね。
それは、社長も十分わかっています。
こういう事情に加え、社長は忙しいですからね。
オーバーでなく、分刻みで仕事をしている人は、一為替担当の説明を延々と聞いているわけにもいきません。
そういう人が、今は為替事情が本当に気になっている、ということだった、ということです。
現に、先輩のところには、ちょっと長めのメールが直にあの後、社長から来たそうです。
「社長にメールしといた」というのは、そのメールでの社長の「心境の吐露」への、担当としての見解だったみたいなんですね。
もちろん、話の全体像は社長からは出してきませんが、そこは先輩が忖度してやり過ごす部分なわけです。
だいたいは、経営者が為替を気にするときっていうのは、大案件の決済のタイミングを判断しなければならないときです。
必見!企業の想定レートをFXに生かす方法
じつは、この記事の内容って、企業の想定レート公表までの道筋の途中なんですよ。
輸出企業は基本、大事をとって円高方向に想定レートを設定したがります。
が、「攻めの姿勢」になっている会社は、わりと円安方向に設定したりするんですね。
その値幅の決め方は、だいたいの会社は社長が最終的に判断します。
この話は、株のトレードなんかにも生かせますよね。
たとえば、業績の良い会社が同時期の他社と比べて少し攻めの想定レートを出そうものなら、基本は右肩上がりの会社だと思っていいわけです。
実際に、ぼくは想定レートと株価の相関のデータも一時期とっていたので、今からでも然るべきステップを踏めば、ある程度は株でも勝っていけるとおもっています。
ただ、やはり気をつけるべき点はあって、この状況って自分でハードルを上げている状況です。
なので、ドル円が想定よりも上昇しなかったら、期初の予想よりも落ち込む可能性も十分ありえるわけで、そこは都度都度株価をチェックする必要はあります。
また、肝心なFXですが、もちろんFXにもこういった企業の動向は、その企業の「意思表示」として生かすことができます。
これはどういうことかというと、要はどれだけリスクテイクできているか?を見るということです。
保守的な国内の輸出企業が、こぞってある程度現状から値幅のある円安方向の想定レートを設定したら、どう思います?
これは、少なくともこの材料からは、ドル円上昇の見込みが高い、と考えてもいいと思いません?
ぼくは、決算内容リリースの時期は、こういう点にも注目して、各社動向を確認しているんですよ。
社長は株主のことで頭がいっぱいだった?
この話の背景的なことも書いておきましょうか(^^)
外国為替相場って、ランダムに推移していくと言われています。
故に、国際企業のトップは、常にその分、決算報告に不安要素を抱えることになるんですね。
これは、もうしかたがないことです。
株式会社ならば、こういうときに一番気を遣う対象は、株主です。
国際企業の場合、期初に前提にする為替水準と目標収益をセットで宣言させられることも多いです。
また、輸出企業によっては円安は追い風になり、「伸びしろ」になります。
国内では自民党が与党になると、円安方向に相場が動きやすいんですね。
あくまで一般論ですが、こうした背景もあり、産業界では自民党を推す人が多いです。
こういう言い方もアレですが、特に既得権益を重視している会社に多い気がしています。
言い方を変えると、既得権益にすがっていても組織がまわる会社、という感じですかね。
ちなみにそういう会社は、新陳代謝が活発とは言えない分、いわゆる激務の体制とはほど遠い雰囲気で、わりと和やかな雰囲気の会社が多い気がしています。
あ、これはもちろん、ぼくの勤め先の業種や、ぼくの個人的な人脈からの主観ですけどね。
でも、そんなにズレてはないんじゃないかな。
楽天の三木谷社長も元為替のプロフェッショナル
楽天の三木谷社長も外国為替部署に配属されていたことがあるんですよね。
銀行ですけど。
日本興業銀行です。
これはぼくの想像ですが、おそらく楽天トラベルの経営にあたっては、海外旅行の際の海外航空会社への支払いなどにおいては、外国為替決済の知識をフルに活用したのだとおもっています。
チケットの支払いひとつとったって、円相場の動き方を知っているのと知らないのでは、雲泥の差があるものなんですよ。
特に楽天トラベルほどの大所帯であれば、扱う金額もかなりのものになり、それこそドル円が1円動いただけでチケット代が跳ね上がる、みたいなことにもなってくるんです。
これは「円高だからゴールデンウィークは海外旅行がいい」みたいなテレビの話とかは、身近なものですよね。
要は、これを法人単位でやってるのが楽天トラベルなわけです。
ITバブルをけん引した新進気鋭の実業家も、外国為替決済の、かなり実益的なテクニックを有していたんでしょうね。
企業経営に、確実にその手腕は生きているんじゃないかな、とおもっています。
あそこまでのし上がったんだから、決してキレイな話ばかりがファクターになっているわけじゃないだろう、という点は、想像に難くありません。
当時の日本興業銀行といったら、現在はみずほ銀行。
おもいっきりメガバンクで、しかも本店勤務だったので、おそらく中央銀行からの紙幣調達のタイミングに関しても、かなり鋭敏な感覚を有していたんじゃないかな、と。
ビジネスはスピード感が命ですからね。
そのへん、お金の流れに関してのアンテナが高かったからこそ、他社を出し抜いていくことができたのかもしれません。
ポン円の長期チャートについて。ソフトバンクの英企業買収のタイミング覚えてます?この谷間のマルあたりの2016年9月。為替取引に従事する人間の間では、これは今でもよく話題にのぼるファインプレーなんです。わかります?この鮮やかさ。
1年たった今、この企業判断はより評価されてます。 pic.twitter.com/rXNoUi2xwS
— 大手企業為替担当DakarのFX雑記! (@111coffeeBreak) November 5, 2017
ちなみに、ソフトバンクの孫社長は、良いトレーダーをお金でひっぱってくるタイプ。
自身が特別為替に精通しているわけじゃないですが、会社経営にあたって自社に都合の良い為替レートで取引することの大事さを、骨の髄までよくわかっているわけです。
「わかっている」というだけの話なら、多くの社長がわかっているわけなんですが、そこで実利的に行動に移すかどうかは、判断がわかれるんですよね。
残念なことに、国内ではまだまだ積極的に為替相場に果敢に挑んでいく会社は少ないんです。
が、ソフトバンクは楽天同様、このへんがかなり現実的且つ行動的。
楽天といいソフトバンクといい、今をときめく大会社のトップが、為替取引で優位に立っているということは、やっぱりちょっと注目すべきですよね。
2社共に、プロ野球球団まで所有するにいたったんですから。
外国為替取扱部署の存在自体が抑止力になる
昔は、外国為替取引を、チャート分析までちゃんとして執行する部署などはなかったんですね。
そういう時代に、じゃあ業績上、為替の影響はどうとらえられていたか?
基本的には、仲値なり月末レートなり為替予約なり、決まったレートで粛々と取引された結果を載せるだけです。
が、精査された数字ではない以上、わりといじりやすい数字だったらしいんですよ。
つまり、言葉を選ばなければ、これは「改ざんしやすい」ところだったってことですよね。
まぁ、改ざんっていっちゃうと、完全に違法なので、ギリギリの調整をしていたんだろうなぁ、とぼくは思っています。
これが、新会社法の施行などの時代背景の変化で、各社為替取引にもさりげなく力を入れるようになったわけです。
その手段として、ぼくの勤め先のように、外国為替取扱の専門部署をつくったりするわけですね。
そうなることで、もう以前のように上層部が勝手に(あえて勝手に、と書きますが)財務諸表の為替の影響による業績の上下をいじることができなくなったんですよ。
いじったら、当該部署の長がだまってないわけですからね。
こっちはその数字をいかに改善していくか?に心血を注いでいるわけです。
そういう中で数字を変えられたら、もうそれは信用に関わる大事件なんですよ。
外国為替部署の存在は、いわば、そういう「抑止力」になるんですよね。
これは、すべての会社がそうだ、というわけではないですが、少なくともぼくの勤め先はそうなんです。
意外と日本企業における外国為替部署は、こうした意義が強いと言われてます。
要はガバナンスのためにも「有効」な部署ってことですよね。
こっちとしては、「いやいや、あくまで収益追求のためにがんばってますよ!」と言いたいところではあります。
が、為替はミズモノという認識が多数であり、実際に億単位の取引で損を出したりしたのなら、もうそこは目もあてられないわけですからね。
そういう可能性は常にある以上、ガバナンスのためもある、という副次的な存在意義もことあるごとに言及されたりする、というのがリアルなところです。
まぁ、まだまだ既存の体制に馴染みにくい部分もある、ということですよね。
実際、現場、設計陣とのぶつかり合いはしょっちゅうです。
まとめ
さて、いかがでしたか?
今回の記事は、意外と組織的な事情を紹介するような感じにもなったのかな、とおもってます。
学生のみなさん、大人の世界って、こんな感じですよ。笑
特に事務系のスタッフって、調整や相談のような水面下の話が本当に多いです。
それをスムーズにやっていくためには、良好な人間関係を築いておく必要があります。
1年目とかって、部署関係なく、本当に信じられないくらいいろんな飲み会に参加させられたりします。
ぼくなんか、昼間より定時以降のほうが大事だ、くらいに言われてましたからね。
そして、ここで最後に言っておきたいのは、為替業務を主として執り行っていく部署の担当は、特にそういう種類のコミュニケーションを疎かにはできない、ということなんです。
つまり、為替の話って、表舞台で推し進められていく営利行為とはまたちょっとちがう角度の話だってことですね。
それは、為替相場はランダムに推移していくものだ、だから常に流動的な不確定要素だろう、という「表向きの良識」があるからです。
ただ、実際には「金融工学」というものさしをそこに持ち込んでいくことは可能。
そこのところは、実際のライン(営業、設計、購買、現場)に対してとても繊細な気配りが必要になるところなんですよ。
その類の気配りを完全にまったく考えることなく接することができるのは、唯一社長だけのような気がするんですよね。
実際に、気配りをせず、本当の分析結果を躊躇なくぶつけることができますし、当の社長がそれを求めているわけですからね。
そんなことを考えたことが、じつは今回の記事を書いたきっかけでした(^^)
P.S
今回の記事は、ぼくの仕事に関する記事でした。
同じような背景で書き上げた記事がありますので、もしよければ読んでみてくださいね。
コスト1割カットせよ?!知られざる実需為替取引の話|材料調達編
↑これです。
こっちの記事でも、企業や社長、為替事情に絡んだ話を書いたんですよ。
Dakar
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