外国為替取引が行われる理由は主に、「リスクテイク」「リスクヘッジ」「実需」の3つに分けられます。
個人投資家がFXで為替取引を行う場合、為替差益を狙ったり、スワップ金利を狙うことになります。
同じように、銀行や証券会社、ヘッジファンドなどの投資家も為替差益を狙う取引が多いですが、これらはリスクテイクという分類になります。
リスクヘッジは資本取引に伴う外貨債権、外貨債務価値の確定などですね。
そして、実需です。
実需は実際に通貨を交換する需要があってなされる外国為替取引です。
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実需の外国為替取引とFXチャート
実需の外国為替取引というのはつまりは、必要にせまられて行う為替取引のことです。
たとえば海外旅行する際には、その国で使える通貨が必要になりますので、円を外貨に変えることになります。
これも為替取引の一つです。
当然、日本人が海外旅行に行くのであれば、円相場のチャートが指し示すレートで通貨を交換します。
同じように、海外へ送金する必要があったり、外国の企業を買収すれば外貨での支払いが必要になるなど、自国通貨を外貨に交換しなければいけない場面はいくつかあります。
その代表的な為替取引が貿易為替です。
円高・円安などの影響を特に大きく受けるのが貿易取引です。
為替レートは日々変わっていて、1カ月、3カ月後など実際の貿易取引の決済のときにはどうなっているのかは、誰にもわかりません。
貿易取引は、異国間の価値の違う通貨同士でのやり取りになるので、為替レートによって通貨の価値が上がったり下がったりしてしまい、決済のときに損失や利益が出るようになります。
ドルで考えた場合、契約したときには、1ドル100円でも、3カ月後の決済のときには1ドル110円の円安になった場合には、1ドルあたり10円の損失が出ます。
貿易の取引の場合には、取引の金額も膨大なので、場合によっては会社の存続に関わるような大きな損失になってしまう場合もあるんです。
日本で言えば一番取引量が多い貿易取引が、自国通貨JPYと基軸通貨USDの交換ですね。
要はドル円です。
FXトレードよりも実需の話!
さて、こういう話になってくるとFXにこの貿易為替の事情を生かす方法を知りたくなってくるとおもいます。
そのへんについてはこちらの記事にちょっと書いてあるのでよければ読んでみてください👇
FXと実需について|東京時間のドル円がレンジ相場になりやすい理由
さて、先を急ぎます。
貿易収支に関わる為替取引の割合は数%で貿易を追っても意味がないという学者さんも多くいます。
でもこれは半分は合っているんですが、半分は間違っているんですね。
出来高に為替変動に関係のなスワップが7割ほど入っているからで、実際には貿易収支の割合は3割以上あるんです。
これはインターバンク市場の話になります。
日本の貿易は現在、年間輸出が70兆円、輸入は80兆円、合計で150兆円、約1.5兆ドルほどなんですね。
1日では約63億ドルの貿易に関わる為替取引があるんです。
自国通貨「円」絡みの取引ですね。
東京市場の外為取引のうち、1日の出来高は1989億ドルとなっています。
このうち顧客取引は二重計上となるのでそれを除くと1371億ドルとなるんですね。
この時点で全体と貿易取引の割合を比較すると、それぞれ3.2%、4.7%となり「貿易為替では為替はわからない、為替は投機に支配されている」という話になるんです。
でも実際のチャート変動は貿易為替の影響がとても大きいんです。
なぜでしょう?
インターバンク市場における実需の存在感
ちょっと数字の話がつづきます。
出来高1371億ドルのうちスワップが1012億ドルで、これは為替の変動とはまったく関係がありません。
なので為替に関係する取引は313億ドルとなるんですね。
これで63/313億となり、貿易に占める割合は20.1%となります。
通貨別にはインターバンクでの取引、実際の貿易取引はドル(円)が6割、貿易ではドル(円)の出来高6.5割であるので 割合は42/187となり22.5%となります。
どうでしょう?
ここまででも実際の貿易収支の占める割合が3,4%から20%以上に増大しました。
メーカのファイナンス部門のスタッフの視点から考えてみましょうか。
例えばA銀行にT自動車の外国為替チームが1千万ドル売るとします。
これはつまりは自社の製品を海外で売って儲けたお金を円に換える取引ですね。
そうすると、インターバンク市場でカバーしB銀行に1千万ドル、あるいはそれより少ない金額をA銀行は売ります。
B銀行はさらにC銀行に全部、一部を売るかもしれません。
これも投機と言えばそれまでですが、正確にはT自動車の1千万ドルの流れで出たお金です。
投機ではなく、実需のキャッチボールですね。
これがインターバンク出来高の水増しになるんです。
もちろん、輸出為替と輸入為替が同時に取引されることもありますが、それは稀のようです。
FXにおける実需勢の動き
つまり、貿易取引のインターバンク市場に占める割合は20%~40%ほどだと考えられるんですね。
シェアーが30%もあれば、相場の流れをつくることが出来ます。
他の顧客玉は生保、証券、買収などの資本玉です。
投機筋の取引は少ないんですね。
ヘッジファンドも参加してはきますが、それほど頻繁にでてくるわけでもありません。
やっぱり相場が上がろうが、下がろうが、コンスタントに出てくるのは貿易為替なんですね。
投機筋のように、相場が自分の思惑と違った方向にいけば静かになって取引を手控えることはありません。
なぜなら差益をとろうとしているのではなく、需要があって通貨を交換するからですね。
相場が投機筋で支配されているというような認識は改めたほうがいいんです。
FX関連のニュースにおいて「実需勢の影響」が語られた場合はほとんどの場合、このような貿易為替を指しています。
ドル円の通貨ペアでは、支配しているのは貿易と一部中長期的な資本になります。
まとめ
さて、いかがでしたでしょうか。
事実、超長期目線で見れば、日本は明治から戦争までの貿易赤字時代は1円から4円への4倍の円安、戦後は貿易黒字なので360円から75円までの円高、東日本大震災をきっかけに貿易赤字となってからは円安が続きました。
どこかで止まる値ごろ感はありません。
貿易収支が赤字なら円安がどこまでも続き、黒字になれば円高に転じます。
アベノミクスや金利動向とは関係しないんですね。
値ごろ感なら円高時代でもほどほどのラインで止まっていた筈です。
でも値ごろ感はなく、実需のギャップだけが相場を決めるんですね。
米国は実需のない市場で、いわゆる投機筋が占めます。
彼らは大きくても小さくても売ったら買う、買ったら売るなので中長期的な相場とは関係がありません。
米国がなにをしようと、ドル円相場は結局日本の実需のギャップに沿った動きとなるんですね。
Dakar
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