投機家が外国為替市場や株式市場、債券市場や商品先物市場から利益を得ることを目的として借り入れる通貨のことを、資金調達通貨と言います。つまりは、資金調達通貨って、キャリートレードのために集められる通貨のことなんですね。FXトレーダーとしては、投機筋のキャリートレードは、勝ち続けるために必要な相場環境認識のひとつなんですよ。キャリートレードって、為替相場を動かすほどの資金が投じられる、ものすごいインパクトを伴った取引なんです。
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目次
キャリートレードの前提
順を追って考えていきましょう。
ぼくは勤め先では実需為替取引をしている立場上、機関投資家が資金投下する市場は、外国為替市場と仮定します。
また、兼業FXトレーダーとしてのぼくは、スキャルピングを主体にしているので、参戦してくる機関投資家はヘッジファンドなどの投機筋という前提で話をすすめます。
キャリートレードってやや専門的な用語です。
もしご自身でもっと掘り下げてしらべる場合は、このへんの条件がどうなっているのか?ということをよく考えるようにしてください。
ぼくも検索していくつかサイトを見てみましたが、銀行目線の説明、投機筋目線の説明、株式投資家目線の説明、アナリスト目線の説明など、いろいろありました。
さらっと調べただけでは、ちょっとわかりにくい印象を持ってしまうかもしれませんので。
キャリートレードとは?
ではでは、キャリートレードに関してです。
わかりやすく結論から書きましょうか。
キャリートレードというのは、機関投資家が金利差を利用してお金を増やす手法のことです。
たとえば米ドルと円が以下のような金利で市場で取引されているとします。
- 米ドル金利:5%
- 円金利:1%
この場合、機関投資家は円を借りてきて、この円を米ドルに交換して運用するんですね。
そうすると、円の調達コストは1%、対する買った米ドルの金利は5%なので、差し引き4%の収益を得ることができます。
これがキャリートレードです。
ちなみに、この場合、機関投資家は銀行などから円を調達して、為替市場で円を売って米ドルを買うという流れになるため、キャリートレードが活発になると円売り圧力が活発化することになります。
こうなることで、相場自体円安方向に動きやすくなるんですね。
キャリートレードが活発になると、仕入れ通貨、売り通貨となる通貨は安くなりやすいといえます。
金利差を利用するキャリートレード
つまりは、高金利通貨と低金利通貨との間の金利差が拡大した場合に、より活発になるのがキャリートレードです。
投資家は、資金調達通貨として比較的金利の低い通貨を選ぶことが多いです。
トレーダー目線でこの例の状況を分析してトレードをしていくことを考えるならば、「ドル円を買う」という選択に行きつきますよね。
なぜならば、投機筋は円を資金調達通貨に選んでいるからです。
資金調達通貨の円で米ドルという通貨を買うという行為は、ドル円を押し上げるわけですね。
要は、個人トレーダーとしては、投機筋のキャリートレードに便乗して稼ぐのが良策になる、ということです。
ちなみに、国際決済銀行(BIS)は、四半期報告で、キャリートレードの資金調達通貨としてリアルタイムで使われていることが多い通貨を発表したりしています。
このへんも情報源として有効活用できればいいですよね。
What is Carry?
キャリートレードを理解するためには、「キャリー」の意味をしっかりと理解することが大事なんですよね。
金融市場では、資産の保有を続けることを「キャリーする」って言うんです。
これは株でも為替でも債券でも、仮想通貨でもつかえる言い方です。
より現実的には、債券への投資を考えるといいのかな。
通常、日本やアメリカなどの国債を保有すると、投資家は1年間に一定の利子を受け取ることができますよね。
保有をつづけることで、利払いのタイミングごとに利益を享受することができるわけです。
アメリカの国債の利子率が1%であるとします。
これは年率ですよね。
ある投資家がこの債券を100ドル分購入し、1年間保有し続けると、1ドルの利息収入を手にすることができます。
100ドル×1.00% = 1ドルということですね。
市場参加者は、この1ドルの利息収入のことを「キャリー」と呼ぶんです。
これがキャリーのもともとの意味ってことです。
もし同じ元手でより多くのキャリーを得たいなら、金利の高い債券を保有すれば、よりお金が稼げるんですよ。
日本は低金利すぎですよね
この考えをもとに、ドルと円など、為替レートが介在する場合を考えていってみましょう。
ドルの1年物の金利を1.00%、円の同じ期間の金利を-0.1%と仮定します。
日本は米国に比べて低金利環境です。
そしてマイナスの金利ですから、日本の残存期間1年の国債を保有しても、収益(キャリー)を確保することが難しいでしょう。
為替のレートが一定、取引にかかるコストがないと仮定すると、日本の投資家は日本国債よりも、米国債を持ったほうが高い収益を得られるはずです。
そこで、投資家は円を売り、米ドルを買います。
その上で、手にした米ドルを使って米国債を買います。
こうすることで、投資家は日米の金利差を享受することができます。
この考え方がキャリートレードにつながります。
国債の話とかむずかしくてよくわからない!という方は、もっと簡単に、銀行にお金を預けることを考えてみてください。
円を米ドルに換えてアメリカの銀行口座に1年間お金を米ドルで寝かせておくとどうなるとおもいます?
高金利なので、お金は、日本の銀行口座で円のまま持っておくよりも、増えるわけです。
銀行の利子が5%ならば、100ドルは105ドルになりますよね。
これが、日本の銀行の口座に寝かせたままだったら、利子1%ベースで101ドルにしかならなかったわけです。
キャリーするっていうのは、こういうことなんです。
キャリーはプロでスワップはアマ?
ここまで読んで、勘のいい方はスワップポイントのことを連想したかもしれませんね。
スワップのことを思い出した方は、FXトレーダーとして、とても筋がいいとおもいます。
ぼくはあくまでスポットで稼ぐ方法についてブログで書き続けているんですが、スワップポイントだって、利益なわけですからね。
小タイトルのアマ(=アマチュア)なんて言い方は、単なる勢いでしかないです。笑
スワップポイントも、1円でも多く稼げれば、それに越したことはないですからね。
スワップポイントってなにかっていうと、チャートを構成する2つの通貨の金利差で生み出される利益のことです。
要は、その当該通貨ペアのポジションを保有していれば、自然にくっついてくるのがスワップポイントです。
厳密に言うと、証拠金取引のFXにおけるスワップと、キャリートレードは、別のものですが、把握の仕方としては同じような類の話だと考えてもらって大丈夫です。
キャリーのほうがより高度なテクニックってことですよね。
各国中央銀行の政策を精査し、通貨を選択して、狙いを定めて資金投下していくわけなので。
しかも最終目的は通貨交換そのものではなく、そのさきの株式市場なり債券市場なわけです。
対して、スワップポイントはもっと単純です。
各FX会社が各通貨の金利計算をそれぞれ行い、その金利差を各通貨ペアに当て込んでくれるわけです。
口座を開設した個人トレーダーはなにも考えることなく、ただ単に取引をするたけで、スワップポイントはついてきます。
こっち方向の話としてよくおすすめ通貨として挙げられるのが、南アフリカランドや豪ドルです。
じつはこのスワップおすすめ通貨って、わりとあまり知られていない通貨ペアが一番稼ぎやすいんですよね。
この話は、この記事の趣旨と少しずれてきてしまうので、これ以上は掘り下げませんが。
「その通貨ペアって、いったい何なの?!」と思った方は、ぜひ↑こちらの記事を読んでみてください。
こちらの記事で、暴露しちゃってますので(^^)
ユーロドルのキャリートレード巻き戻し
先行きの不透明感が高まったり、地政学的リスクが懸念されたりすると、投機筋は素早くリスク回避の方向に舵を取ります。
今回のドル円トレードの例においては、ドル売り円買いを行い、ポジションを解消するってことです。
この結果、為替相場はどうなるか?
結果として、リスクオフ局面では円高が進みやすくなる、ということになります。
キャリートレードの話は何も円相場だけに限らないので、ここではちょっと視点を変えてみましょうか。
このチャートはユーロドルの4時間足です。
この局面では、世界的株安で市場全体がリスク回避ムードだったんですね。
そういう事態で、突如急上昇をはじめたのが、ユーロドルだったんです。
いわゆる巻き戻しですよね。
つまり、低金利のユーロを、投機筋が資金調達通貨として利用していたことが、このユーロドルの急上昇で明るみに出たわけです。
このときはぼくもリアルタイムでこの上昇を見てましたが、まわりのトレード仲間の声も聞いても、みんなこのときは、「いいかげんそろそろ下落でしょ」ということを言ってました。
でも、なかなか終わらなかったんです、このときのユーロドル上昇は。
ショートでナンピンしていたトレーダーなんかは完全にカモにされてしまってました。
このときの状況はつまり、たとえばアメリカの株や債券に投資していた資金を、投機筋がみんなこぞってユーロに戻した、という図式だったんです。
一番大事な話を書きます
さて、このユーロドルの話からわかることはなんなのか?ですよね。
それは、キャリートレードというのは、「これからキャリートレードでチャートが動くぞ」みたいなニュースが流れるようなものではない、ってことだとぼくはおもうんです。
そんなことがわかれば、だれでも為替相場で大金を稼ぐことができます。
が、残念ながらそれができないのは、為替相場が非常に複雑な変動要因で日々推移しているからですね。
書いた通り、急上昇したことでユーロドルのキャリートレードが「明るみに出た」んですよ。
ユーロを売るときは、みんな市場参加するタイミングなんかはまちまちなので、同じ時期にチャートの下落を引き起こすなんてことにはならないんですね。
だから、買い戻したときに、こうやってはじめてわかるんです。
ぼくら個人トレーダーは、ファンダメンタルズ、テクニカルの双方を駆使して、常に繊細な相場環境認識で、ぎりぎりの判断を継続していかなければならないんですよ。
そういう中にあっては、このキャリートレードに便乗するトレード技法も、同様のスタンスが求められます。
つまり、為替ニュースで、今現在のチャート変動が、「キャリートレードによるものである可能性が高い」ことが報じられているときに、どんな行動をはじめるべきか?ということですよね。
まず、考え方としては、このように考えるようにしてください。
キャリートレードを相場環境認識に組み込む
事前に「これからキャリートレードが表面化する」みたいな情報は、まず流れないとおもっていたほうがいいと書きました。
じゃあ、どうすべきなのか?
リアルタイムのチャート変動がキャリートレード絡みだという情報を得たら、相場環境認識の総体に組み込んでいくんですね。
ここがポイントなのですが、あくまでキャリートレードも、数あるチャート変動要因のひとつなんです。
キャリートレードがチャート表出しているチャートは、ポンドチャートみたいに見えるんですよ。
これはなぜかというと、まさに投機筋が参戦しているまっただ中だからですね。
投機筋が注目している最中のチャートにおける変動は、端的に言えば「嫌らしい」の一言に尽きます。
「エントリーした途端に逆行」とか、「損切りした直後に上昇に転じる」とかは、よくあることです。
でも、基本的には一方方向に一定期間、急展開することが多いので、チャンスでもあるんですよね。
ポンドチャートみたい、と言ってもFX初心者の方はあまりイメージが湧かないかもしれませんが、そこは、ぜひチャート分析してみてください。
一歩一歩行きましょう(^^)
まとめ
さて、いかがでしたでしょうか。
為替相場の動きはキャリートレードの積極化、その巻き戻しなど、投機筋の行動に影響されやすいと言えます。
一般的に、為替が動くときには、為替の変動幅のほうが、通貨間の金利差よりも大きくなります。
つまり、キャリートレードでも大きな損失が発生することも十分に考えられるので、実際に必勝のトレード方法でははないんですね。
あくまで実際のキャリートレードの損益は、為替レートの変動と、二国間の金利差の合計です。
だから、投機筋もテクニカルを駆使するんですね。
それでも、常に一定数の相場参加者は、お家芸のようにキャリートレードに励みます。
これは、現在の市場というのは、世界中の中央銀行によって緻密にコントロールされていると考える人が多いからです。
やはり、中央銀行の金融政策が為替相場の「地合い」をつくっているという認識は、持っておくべきなのでしょうね。
Dakar
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