とある方から、ボリンジャーバンドはズルいテクニカルだと思います、という問い合わせがありました。ボリンジャーバンドのどこがズルいのかなーと思って、よくよく話を聞いてみると、「これはわりと深いかも!」と感じて。今回の記事は、そんなぼくのボリンジャーバンドに関してのやりとりを元にした記事です。
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目次
ボリンジャーバンドの問い合わせ
ぼくのブログには、FXやぼくのトレード技法に関することについて、とりあえず何でも問い合わせOKなコメント欄があるんですね。
これです。
メールアドレスはきちんと正確に書き込んでほしいですが、名前は仮名でもいいです。
ぼくも匿名でずっとブログ書いてますしね。
もしなにか聞きたいことあったら、遠慮なく何でも聞いてください。
そのためにあるコメント欄なので。
それで、いきなり問い合わせ欄の紹介からはじめちゃいましたが、この問い合わせ欄に、とある日、ボリンジャーバンドについての質問があって。
質問というか、「ぼやき」みたいな感じだったんですけどね。笑
20代、男性で、最初から、ちょっと不思議だけど人を惹きつけるようなコメントを書く方でした。
ボリンジャーバンドについて悩んでいるんです
文は人なり、と言いますが、この方のコメントはなんだか印象的なコメントだったので、わりと通勤途中とかにもふと思い出したりしてたんですよね。
そういうこともあって、今回記事にしようかと。
ご本人曰く、FX歴はまだ短い方なんですが、文章には本当にボリンジャーバンドについて切実な悩みを抱えていることがにじみ出ていたんです。
それは、「ボリンジャーバンドっていうのは、バンドにタッチしても全然トレード判断にはつかえないですよね」という趣旨の話で。
この悩み(悩みというか文句に近かったですが。笑)が最終的に、「ボリンジャーバンドはズルい」という言葉につながっていってたんです。
彼の主張は、まとめてみると、こういうものでした。
- バンドにタッチして反発したら、ボリンジャーバンドというテクニカルが機能したと言える
- バンドに触れた後、反発せずにズルズルと外側に行っても、ボリンジャーバンド自体も広がるから機能してないとは言えない
こういう感じです。
どうでしょう?
ひょっとしたら、同じように感じている方もいるのかもしれません。
ボリンジャーバンドがズルいと思う具体的な理由
つまり、この相反する2つの現象、どちらになっても、ボリンジャーバンドはきちんとテクニカルとして有効になっているかたちになる、という主張ですね。
トレーダーとしては、「今、ココ」の判断が求められるのに、ボリンジャーバンドがローソク足の種類によってあとからかたちを変えるっていうのは、ズルい。
こういう話です。
これ、ぼくは、はじめてこの問い合わせを読んだとき、実際にチャート画面に向かい合って本気でトレーディングに取り組んでいるトレーダーの光景が、けっこうはっきりと想像できたんですよね。
文章が書きにくいので、この方、仮にBさんとしましょう。
ボリンジャーバンドのBです(^^)
このBさんの話は、実際にエントリーポイントについて考察を重ねて、実際にトレードをしていないと、できない話なんですよ。
この主張、たしかにBさんの言うとおりです。
バンドに触れた瞬間を、反発のサインととらえるなら、たしかにそのポイントで逆張りをするべきなんです。
下落してバンドにタッチしたのなら、バンドタッチで買うということですよね。
バンドウォークまで考えると動けない
でも、チャートは、バンドにタッチしても下落を続けることがあるわけですね。
そして、これもBさんの言う通り、タッチした後、さらに外側に向けてローソク足が推移していっても、ボリンジャーバンドが当てはまっていない、ということにはなりません。
なぜなら、バンド自体がローソク足に合わせて下降のラインを描いていくからです。
この現象には、バンドウォークというネーミングまでつけられていますからね。
あ、バンドウォークについては別に記事を書いている↑のでぜひ読んでみてほしいのですが、要はバンドウォークっていうのは、ローソク足が「バンドにべったり」ってことです。
実際に、特に上昇トレンドの最中でこういうことがあると、気持ち的にはぼくも「下がるのかよー」と思っちゃいます。
少なくとも、自身の相場環境認識からは、その局面では下落のバンドウォークを想定してボリンジャーバンドを出したのではなかったわけですからね。
チャネルラインでも解決できない歯がゆさ
このトレーダー目線の問題は、じつはチャネルラインを引くことで解決できるようには思えるんですよ。
チャネルラインならば、これまでの値動きの延長線上に、切り返しのポイントを想像してエントリーができそうな気がするんです。
でも、あくまでそれまで分析してきたテクニカルがボリンジャーバンドなのに、いきなりここで平行線を引き始めるというのも、なんだか腑に落ちませんよね。
そもそも、その局面でボリンジャーバンドを出していたのは、ボリンジャーバンドが機能している相場だからだったはずです。
じゃないと、ただ闇雲にボリンジャーバンドを使おうとしたって、それは無茶な話ですからね。
あくまでボリンジャーバンドを有効活用するにはどうしたらいいのか?
この問題を解決するためには、ボリンジャーバンドのそもそもの成り立ちをきちんと把握する必要があります。
ぼくは、大きく2つのことに関して、Bさんは認識を改めないといけないと思ったんですよ。
ボリンジャーバンドを理解するということ
まず1つ目は、標準偏差でバンドのラインが確定していくボリンジャーバンドというテクニカルのルールをきちんと理解することですよね。
これは、いわばボリンジャーバンドの性質を理解することにつながってきます。
ボリンジャーバンドを、トレードの武器として、単体で駆使していく場合は、スクイーズからエクスパンションに移行するタイミングで使うと効率良く勝てると言われてるんですね。
スクイーズとエクスパンションについても、記事を書いてますので、ぜひ読んでみてください。
さて、移行するタイミングですが、具体的には、±2σのブレイクアウトとかです。
要は、ミドルラインあたりでうろちょろしていたローソク足が、少し広がって、±1σを超え、±2σまで超えてきたときに、エントリーするというトレード方法です。
Bさんは、この話に関して、前提としては「-2σにタッチしたら買うんでしょ?」と思っているわけです。
でも、Bさんの考察は深くて、そういつもうまく-2σで反発するとは限らない、ということもわかっているんですね。
それがズルい、という主張をBさんはしているという話だったわけですが、じつは、このことをズルい、と言っている時点で、Bさんはボリンジャーバンドというテクニカルを正確には理解していないということになるんです。
ボリンジャーバンドはキリの良い偏差値で描かれる
なんだか今回の記事はボリンジャーバンド系の記事をどんどん紹介している感じですが、ここでまた読んでいただきたい記事があります。
この記事です。
この記事で、ぼくは「ボリンジャーバンドの±2σの範囲内に収まる確率・・・約95.4%」と書いてますよね?
ここを読んで、「ならば、-2σにタッチしたら買いだな」と考える方もいると思うんです。
実際、こういう数値をBさんも知っていたので、基本的には逆張りの戦略を選んでいたんですよ。
なんですが、ぼくは、この記事で「-2σにタッチしたら買いましょう」とは書いてないわけです。
95パーセント以上の確率で収まると書いているのにも関わらず、です。
このへんなんですよね。
なにが言いたいかというと、ボリンジャーバンドはあくまでボラティリティーをチャート上に表現してくれているに過ぎない、という事実です。
これがすべてです。
ボラティリティーって、ローソク足の振れ幅を見てなんとなくイメージできるものですが、それを可視化してくれるのがボリンジャーバンドってことですよね。
常に動き続ける為替チャート上に変動幅を描き出してくれるって、すごいことなんです。
が、これは、トレーダーのために買いか売りかのサインを出してくれているわけではない、ということでもあるんです。
ボリンジャーバンドは、ミドルラインが移動平均線です。
そのミドルラインを軸に、一定の偏差値を足したり引いたりした水準に、複数のバンドを構築していったもの。
これが、ボリンジャーバンドの正体なんですね。
ボリンジャーバンドでエントリーするタイミング
さて、2つ目です。
2つ目は、時間感覚についてです。
2つ目も、1つ目と一緒に体系化しておかないと、実際のトレードで役立たないので、よく咀嚼するようにしてください。
時間感覚については、結論から書きます。
ずばりそれは、「バンドが確定していない段階では、エントリー根拠としてはボリンジャーバンドというテクニカルは使わないことが大事」ということです。
これ、オシレーター系テクニカルでもそうなんですが、テクニカルが確定していない段階で早まって資金投下してしまう方って、わりと多いんですよ。
じつはそれ、ちょっと早すぎるエントリーなんです。
わかりやすいかなと思うので、今回の例にあてはめて書いてみますね。
「-2σにタッチしたら買い」というイメージを持っていたBさん。
このイメージなんですが、おそらく、リアルタイムでチャートを見ていたのでしょう。
ぼくも基本的にはザラ場監視トレーダーなので、Bさんの感覚はすごくよくわかったんです。
だから、この「タッチしたら買い」の意味合いも、メールを受信して読んだ瞬間からわかりました。
「あぁ、そういうことかー」と。
これ、どういう意味だと思います?
ローソク足が完成してボリンジャーバンドも完成
これは言葉のとおりなんですが、Bさん、じつは、リアルタイムで動き続ける1時間足のローソク足を見て、そのローソク足がボリンジャーバンドにタッチした瞬間に買っていました。
具体的に書くと、日本時間17時の経済指標発表から、1時間10分ほど経過したところです。
通貨ペアは、ポンドドル。
こういう背景があったということに関して、みなさんはどう思います?
じつはこの話、この「1時間10分ほど経過」というところがミソです。
ぼくはすでにBさんのウィークポイントには気づいていたので、実際の時間も聞いてますが、はっきりと18時10分くらいだった、ということまで確認してます。
つまりですね、ここが重要なんですが、Bさんは、18時台のローソク足が完成する前に、その18時台のローソク足の動きを根拠にしてエントリーしていたんです。
これはいったい、何を意味するのか?
ボリンジャーバンドはローソク足の標準偏差をとっている
ボリンジャーバンドのミドルラインは、ローソク足を計算根拠にして描かれます。
当然、今現在、リアルタイムで動き続けているローソク足に関しては、動くたびにボリンジャーバンドの点が動くわけですね。
これ、Bさんが「ズルい」と言っているところになります。
が、ボリンジャーバンドのそもそもの成り立ちがそういうものなんです。
「-2σにタッチしたら買い」という言葉を、ザラ場で愚直に実践すると、確定していないローソク足をトレード根拠にすることになるんですね。
こういうのは、PCを並べてヨコから経験者に手取り足取り教えてもらってれば、あまりありえない間違いなんです。
実際、ぼくは職場でそうやって教えてもらってたので、こういう疑問は持たなかったんですよね。
ひとりで自宅でインターネットをつかって勉強して、ひとりでトレードをすると、こういう誤認識もしてしまうものなんだなぁということを、今回のことでは感じました。
ロンドン時間にトレンドで勝とうとしているあたり、目の付け所はとても良かったんですけどね。
「-2σにタッチしたら買い」というのは、もっと正確に書けば、「確定したローソク足のヒゲが-2σにタッチしていたら買い」というニュアンスです。
実体だと、逆に売ったほうがいいんですよね。
あと、この話は、チャートの勾配の変化への気づきも必要になってくるんです。
重要!ボリンジャーバンドでブレイクアウトを狙う方法
確定したローソク足の実体がバンドをブレイクアウトしたことを確認して、矢印のあたりでエントリー
せっかくなので最後に、この2つのポイントを網羅した、ボリンジャーバンドのブレイクアウト戦術を書いておきますね。
チャートの勾配の変化への気づきも必要、とか書いておきながら、具体的な戦略に触れないのも締まらないので。
結論から書くと、ボリンジャーバンドのブレイクアウトを狙うべき水準は、±2σです。
±2σを、確定したローソク足の実体がブレイクアウトしたら、足が変わったところでそのトレンド方向にエントリーする、というやり方をおすすめします。
このロジックは、個人的には、別に古くも新しくもなく、スタンダードスタイルかなと思っています。
特に特定の通貨ペアでファンドが狙い撃ちしてくるような話も聞きませんし、まじめにコツコツとチャレンジを続けていけば、お金は増えていくはずです。
そしてこれもまた大事ですが、その際は、チャートの勾配が、これまでより急になったことを確認すること。
わりと突然はじまるようなイメージです。
そういうときに、このブレイクアウト戦術が奏功することが多いです。
急ということは、ある程度そのときのローソク足は長くなっている必要がありますよね。
これは、多くのチャート変動を見ていくことで、ぜひ戦術眼を養うようにしてください。
逆に、急なチャート変動でこのブレイクアウト戦術が使えるということは、緩やかな勾配の場合は、例の、
「ボリンジャーバンドの±2σの範囲内に収まる確率・・・約95.4%」
こちらの方程式をあてはめていくと、勝率は改善されるはずです。
つまり、逆張りってことですね。
まとめ
さて、いかがでしたか?
ボリンジャーバンドって、「今の相場」におけるトレンドの方向や、正確な「今後の」値動きの幅を教えてくれるものではないんですね。
そうではなく、あくまでボラティリティを可視化してくれている存在なんだということを、実感してもらえたら、この記事を書いた意味があったかなと思います。
それから、Bさんの感覚に共感したという方は、ローソク足の話のほうがより印象的だったかな。
実際にトレードをするときは、確定したローソク足をエントリー根拠にしましょう。
テクニカルは、まずは教科書通りに使うのが1番です。
そこから、自分なりの気づきを生かしてスタンスを発展させていくと、ある程度「崩れて」いくことになりますが、そのときはもうこんな記事は必要じゃなくなっているとおもいますよ(^^)
Dakar
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