広い意味でのAIトレードシステムは、メガバンクや私設ファンドなど、いろんなところですでに活躍しはじめてます。取引の意思決定から、取引の執行まで、あらゆるシーンでAIがすでに現場でつかわれているんですね。でも、じつは現状のAIは、あらかじめ人間が決めたルールに従ってトレードをしているだけなんです。これをAIと呼ぶのは、ちょっとちがう感じなんですよ。このへんの話からはじめていきましょうか(^^)
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目次
ファンドはAIさえあればトレーダーいらず?
最近、よく「これからは人工知能だ」なんて言われるものだから、こぞって「AIトレード」がもてはやされてます。
「AIを導入したからヒトのトレーダーはいらなくなった」なんてニュースですよね。
でも、こういう文脈でつかわれているAIっていうのは、まだまだ従来の「自動売買」の範疇にとどまっているようなイメージです。
じゃあどんなものがAIと言えるのかというと、定期的に学習し、計算結果に影響を与える値を変えることできる、リアルタイムの相場に最適化できる、という能力を有しているかどうかだと言えます。
計算結果に影響を与える値というのは、パラメータのことです。
パラメータというのは、定数や母数のことですね。
とあるEAを入手し、相場環境の分析の後、自分でパラメータを更新しながら使ったりしている人がいるとするじゃないですか。
このパラメータチェンジが、つまりは最適化なんですよ。
この最適化の流れを、人間じゃなくてEAが自ら行う、というのが本当の意味でのAIのイメージです。
この、「人間じゃなくて」というところがミソです。
日本円で約11兆6400億円を運用するヘッジファンド会社、マングループのルーク・エリス最高経営責任者は、ブルームバーグのインタビューで、「コンピューターの性能とデータ量が今のペースで上がり続ければ、25年後には投資管理業務の99%にAIが関わるようになるだろう」と話しています。
AI技術の進歩は、人間の雇用に大きな影響を及ぼすと言われているんですよね。
コンサルティング会社オピマスなどは、金融機関を対象とした調査を基に、資産運用業界の従業員30万人のうち9万人の職が、AIシステムの稼働後に消えるだろうとの見積もりを示しています。
機械学習とニューラルネットワーク
人工知能の研究分野の中でも、1980年代以降特に成長著しいのが、機械学習です。
英語で言うと、マシンラーニングですね。
機械学習のモデルのことをニューラルネットワークといいます。
ニューラルネットワークは、人間の脳のしくみ(ニューロン間のあらゆる相互接続)から着想を得たもので、脳機能の特性のいくつかをコンピュータ上で表現するために作られた数学モデルです。
結論から書くと、ニューラルネットワークって、チャート変動の規則性を数字で表すことができるんです。
つまり、関数ですよね。
相場を関数で表現できると、どんなメリットがあるとおもいます?
それは、AIが自発的にシナリオを描くことができるようになる、という点です。
これ、ちょっと専門的な言い方では、「関数近似能力」と言います。
関数近似ってちょっとむずかしい言葉ですが、要するに、とある関数を別の関数で表現できる能力ってことです。
なかなかイメージが持ちにくいかもしれませんが、とりあえずはどんどん話を先にすすめます。
関数近似能力を有しているニューラルネットワークは、特にトレンド相場で強いです。
要は、これからその当該通貨ペアのチャートが上昇するのか?下落するのか?という判断を下して、人間にサインを出してくれるわけです。
時間帯の特徴など、複雑な条件は除外するとしても、価格の上下の動きに限りなく近い関数が表現できれば、次の値が、とりあえずは予測可能になります。
つまり買うべきなのか、売るべきなのかがわかるということになりますよね。
これ、さらっと書いていますが、かなりすごいことなんですよ。
この関数を自ら計算して、できる限り早くラインブレイクを見抜けるように設計された人工知能も、すでに一定規模のヘッジファンドでは実装されています。
チャート分析において、欧米で主流のトレンドフォローの考え方ですよね。
これ、「自ら計算」というところがポイントなんです。
ニューラルネットワークは、自ら計算を繰り返します。
入力された数値の「集中」と「偏り」を精査していくんですね。
この計算は、出力の誤差を減らすことが目的なわけです。
そして、これこそAIの得意とする作業なんですね。
こういう最新テクノロジーは、いつの時代も、大抵真っ先につかわれるのが医療、金融の分野です。
ニューラルネットワークは、教師データ(正解)の入力によって問題に最適化されていく教師あり学習と、教師データを必要としない教師なし学習に分けられるんですね。
教師あり学習
教師あり学習は、ある入力値と予測してほしい出力値を含む訓練データセットから、未知の新しい入力値に対してもある程度の予測性能を持つ機械学習モデルを構築することを目的としています。
例えば、はがきに書かれた郵便番号を自動で認識したい場合、入力画像とその出力を揃えることによって、未知の新しいはがきに書かれた郵便番号を自動で認識するものなどです。
もしすでに過去のデータとそれの基づく予測してほしい結果・分類・価値などを持っていたとするなら、教師あり学習を検討したほうがいいですね。
教師なし学習
教師なし学習は、教師あり学習と違って出力値を必要とせずに分類することや、データの分布をモデル化するために使用します。
k-meansなどのクラスタリングがこれにあたります。
また、次元削減などの分散表現の獲得も教師なし学習の分野です。
次元削減は、ニューラルネットワークなどの教師あり学習の入力値の前処理にもよく使用されます。
強化学習の可能性は計り知れない?!
さて、さきほどぼくは、機械学習のモデルはニューラルネットワークだ、と書きました。
この認識は、基本認識として今でもAIの研究のベースになっていることです。
日夜めまぐるしいスピードで研究が進むこの分野においては、日々あたらしい概念や研究成果が発表されています。
その中にあっては、途絶えていくものもたくさんある中で、「これは将来ものすごい可能性を秘めた研究だ」と賞賛される研究モデルが、いくつかすでにでてきているんですね。
その中のひとつであり、現在、人工知能と言えばコレだ、と言われるまでになったのが、「強化学習」です。
強化学習とはなにか?
機械学習技術の進歩によって、過去のデータから学習する技術は大きく進化し、写真の中に写っている対象を認識することや病気の診断、多言語間の翻訳をする性能を著しく向上させることができました。
その性能は専門的な教育を受けた人間の能力と同等か、もしくは超えている分野もあるほどです。
強化学習のフェーズにおいては、AIは、人間がデータを与えなくとも、自らの経験から学び、そのスキルを上達させることができるんですね。
特に何も教えられなくとも、経験からゲームの攻略方法やロボットの正しい動作の仕方を学んでいくことができます。
機械学習の中でも、このようなアプローチで試行錯誤をしながら行動を最適化する手法をとるようになったので、機械学習がさらに強化された、という意味で、「強化学習」と呼ばれるようになったんです。
ちなみに強化学習は英語で、Reinforcement Learning です。
Reinforcement は、強化・補強という意味です。
従来、機械学習では足りないと言われていたところを、「強化」して補ったのが強化学習なんですね。
強化学習が為替取引の未来を担う
これからAIとFXについて学び始める方のために、強化学習でできることと、ブレークスルーテクノロジーについても書いておきます。
強化学習は、教師あり学習、教師なし学習とは、根本的に問題の設定が違うんですね。
強化学習では、事前に教師あり学習のようなラベル付けされたデータセットが用意されているものではなく、環境の中で試行錯誤した結果の報酬シグナルしかありません。
行動した結果を元に学習するという考えでは、教師あり学習のようにも考えられますが、探索空間での行動の仕方や行動系列の結果の報酬を最大化するように意思決定の仕方を学んでいくところが特徴です。
ここ数年は、強化学習で成果を残した研究発表も増えてきました。
その結果として、強化学習は、2017年のMIT Technology ReviewのBreakthrough Technologies に選択されているほどです。
Breakthrough Technologiesというのは、MIT Technology Review が毎年発表しているものです。
将来的に商業、医療、社会に最も広範な影響を与え、世界を変えるであろう10のテクノロジーを、マサチューセッツ工科大学が選出しているんですね。
このブレークスルーテクノロジーに選出された技術は、過去には車々間通信なんかも取り上げられ、実際に運用までこぎつけた例もあります。
きっと人工知能も、近い将来は、当たり前のように毎日の生活の中でつかわれているものなんです。
その正体が、今現在研究がすすめられている強化学習の発展系であることは、まずまちがいないことなんですね。
そしてFXへ
環境からのフィードバックを利用して学習する強化学習は、資産管理やリスク管理、価格決定、消費者の信用予測などのファイナンスに対しても相性が良いんですね。
特に為替相場というのは、一定の周期で相場が繰り返される傾向があります。
この、相性が良い、という点は、非常に大きな意味がある点なんですよ。
中身がブラックボックスなニューラルネットワークは、結果を説明しにくいところが難点ではあるんですけどね。
実際のところ、利益率を最大化する複利型強化学習 で、ポートフォリオを管理する方法も研究が進んでいます。
最近では強化学習をリアルタイムトレードに応用した事例も出てきています。
こういうことができるのが、強化学習の特徴なんですね。
為替取引において扱いやすいなら、当然証拠金取引であるFXトレードでもつかえるということになってきます。
この点が、現在国内FX市場で、AIがかなり注目されはじめている理由だったんですね。
海外の英語のサイトでもAIによる為替取引は注目されていますが、個人向け証拠金取引をしているトレーダーに対してここまでAIの存在を押し出して説明するようになっている国は、日本くらいだと感じています。
これは、日本が金融テクノロジーで一歩先を行っているからというより、人工知能の分野で最先端の研究をしている国だからです。
ひょっとしたら、今後、AI研究でリードしている立場を利用して、日本も金融先進国の仲間入りができるかもしれません。
それを裏付けるかのように、国内メガバンクのAIシステム研究は、日進月歩の感があります。
AI研究と為替をはじめとする金融分野は、それほどに今後強く結びついていくことが確定的になってきているんですね。
まとめ
さて、いかがでしたでしょうか?
人工知能入門ということで、AIの大きな枠組みから強化学習までを一気通貫で掘り下げてみました。
なんでもそうですが、まずは広い概念から学び始めると、途中で、「あれ?なにを学んでいたんだったっけな?」という心持ちにならずにすみます。
FXでAIが活躍する理由も、なんとなく見えてきたんじゃないでしょうか?
この記事を読んでいただくことで、とりあえずでも、「人工知能とは何ぞや?」というところを理解してもらえていたら、幸いです (^^)
Dakar
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