ドラマ、ハゲタカではカリスマ社長率いる純日本メーカ、大空電機がTOBにかけられます。TOBは、株式公開買付のこと。大空電機の話は、決してドラマの中心ではありませんが、ぼくの立場的には、当時はピンポイントで非常に大きな興味を持って見てました。あらゆる手を尽くして利益をかすめとっていこうとするヘッジファンドは、為替相場でも常に一定の存在感があります。今回の記事は、テレビドラマ、ハゲタカの実体社会におけるネタバレのような話。まずは、ヘッジファンドの話あたりからはじめていきましょうか。
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ハゲタカは傍若無人なだけなの?
切り口は自由ですし、あえて世間一般のイメージとはちがう側面から書きはじめたいと思います。
ヘッジファンドって、もうそれはそれは強欲な存在のように描かれることが多いですが、こういう組織で働くひとたちにだって、家庭があります。
業界の超精鋭たちが集う集団であっても、家に帰れば良いお父さんも多いのも事実なんですよね。
あと、ファンドってそもそもどうやって資金調達しているかというと、大抵は人脈をたどって資産家からお金を預かっているんです。
そうやって集めたお金を運用して、高利率で資産家へ返すわけですね。
その際に、あらかじめ定めておいたマージンの利率分だけ、そのお金からさっぴいて、自社の利益にするわけです。
ヘッジファンドの収益構造を簡単に説明すると、こんな感じです。
ファンドにお金を預けるような資産家って、やっぱり社会貢献の意識が高くて偉い方々もたくさんいて、増やしたお金をボランティア団体に寄付することも多いです。
そこを考えると、ヘッジファンドだって、間接的にボランティア団体にお金をまわしているとも考えられます。
それから、どんなに華麗な職業のように見えても、単なるひとつの会社だとも言えるって話。
莫大な資金力で「ハゲタカ」のような傍若無人なスタンスをとっているようなヘッジファンドだって、基本的には顧客第一主義の法人なんですね。
ただ、その利益追求の「型」が、欧米来の高度な資産運用手腕を駆使するやり方なので、どうしても「嫌らしく」見えてしまうんです。
ドラマの中でも、「金儲けは悪いことですか?」というセリフがあります。
ドラマハゲタカが生まれた背景
そしてこの人たちは、現実世界のファンドマネージャー
元々のドラマハゲタカは、2007年に放映されました。
この年の2年前には新会社法が施行されています。
経団連なんかも、この時期あたりにはいろいろな側面で日本の会社も変わっていかなければならないだろうという趣旨の声明を出していました。
暗に古くからある日本企業に号令をかけたわけですよね。
「変われ」と。
すでにお昼のワイドショーでも、ITベンチャー企業のプロ野球球団・テレビ局買収、インサイダー取引などが連日話題になっていました。
この声明に影響を受けずとも、もう世の中が、待ったナシの雰囲気だったんです。
こういうこともあり、業種や個々の会社により、M&Aへの対応など、経営体制の抜本的な改革がさまざまなかたちで進められていったんです。
これは、旧態依然の体制をとっていた会社は特に、でした。
その反応の度合いは違えど、多くの会社が、「法律が変わったから」という理由でいっせいに変革に着手していったんですね。
誰でもよくわかる変化としては、「~ホールディングス」という名称の会社が増えた点とかですよね。
これなんかも、新会社法が施行されたから、なんです。
この手の変革と並び立てることができる類のものとしては、「コンプライアンスの徹底」とかですよね。
でも、コンプライアンスなんて、この新会社法の施行と比べたら、たいしたことない変革なんです。
考えてみていただければわかるとおもいますが、会社って営利団体です。
合法的に買収することが容易になる時代になるというのは、本当に大きなインパクトだったんですね。
それこそ、「ハゲタカ」のようなヘッジファンドが、本気で買収を仕掛けてくるわけです。
真っ当な「営利行為」として。
ハゲタカとリーマンショック
矢印の下落がリーマンショック。ぼくは入社後3年くらいは、ドル円は下落するものだとおもってました。笑
これまでの企業倫理をくつがえすような印象を視聴者に与えるために、あえて奇抜な発言を随所にちりばめているような気がするのがこのハゲタカというドラマです。
そこは、インパクト重視ですよね。
元々がフィクションの経済小説なので、特に実社会を忠実に描こうという意図は感じられません。
じゃあ、あの世界観を今、現代にあてはめてみたら、どうなのか?という話。
多くの方が興味を抱いたこのドラマハガタカは、やっぱりどこか日々の社会生活の中で共感する部分もあったんだとはおもいます。
ですが、実際には「ここはちがうなー」と思ったところもありました。
キーワードは、リーマンショックなんですね。
最近の日本企業は、成果主義を導入するなど、アメリカ的な経営に近づいたといわれますが、従業員を突然解雇する経営者や、同僚を蹴落としてまで出世をしたいと考える従業員なんかは、やっぱり少ないです。
これは、リーマンショックという未曾有の不況を経験しても何の反省もせず、失敗したプレイヤーが退場しただけだとドライに割り切るアメリカとは対照的なんですよ。
この違いは、「強欲は善」がアメリカの歴史と文化から生まれた思想で、異なる歴史と文化を持つ日本がどれだけアメリカを模倣しても、絶対に同じ境地には立てないことを意味しています。
ハゲタカの著者は、アメリカの現実を突き付けることで、日本の現状を確認せず、無自覚にアメリカを模倣する日本社会を批判しているんです。
アメリカは一度失敗しても、すぐに再チャレンジができるほど労働市場が流動化しています。
が、日本では、リストラされたら前の職場と同じか、有利な条件で再就職するケースは、アメリカほどに多くはありません。
また、アメリカの一部の企業では、いまだに家族経営で業績をあげています。
一方、日本では終身雇用、年功序列を見直したり、家族経営が非効率とされて、成果主義を導入したり、正社員を非正規に置き換えてコスト削減を図る企業が増えています。
ハゲタカの著者は、買収工作に奔走する鷲津を通して、日本はこのままアメリカの後を追いかけるべきか、日本的な価値観を見直して経済発展のモデルを再構築すべきかを問い掛けているんですね。
何より、市場原理主義の最前線で戦うのが鷲津です。
その戦いの中で、マネーゲームの限界を悟り、武士道を象徴するサムライキャピタルを率いることで、「強欲は善」という思想にも、金を稼げば幸福になれるという風潮にも疑問を投げかける鷲津。
鷲津は、「現代の日本人が忘れつつある日本人の心とは何か」という問いかけを、視聴者に対して、しているんですね。
リーマンショックとDakar
日々、商取引の必要性から外貨を確保したり、売上を円に戻したりする実需為替取引担当としては、2008年のリーマンショックでは、いわゆる金融筋のトレーダーの受けたような大打撃の感触は、ありませんでした。
会社は損失を被ってはいますけどね。
担当としては粛々と実務をこなすだけですし、当時まだ任せられていた仕事の範囲もまだまだ「見習い」レベルだったぼくは、ただただ「おー、すごい下落だなー」とか思っていた記憶があります。
いわば一時的な相場へのインパクトですよね。
工場の操業がとまらない限り、為替取引もつづいているわけで、そういう意味では、実需の担当としては、こういう突発的な材料より、もっと大きな「相場環境」の変化のほうが大事なんです。
あ、勘違いしないでほしいのですが、これはあくまで担当としての主観です。
もちろん、世界的な通貨危機だったリーマンショックは、世界中のあらゆる業種の会社に大きな損失をもたらしたわけで、ぼくの勤め先も例外ではありませんでした。
経理部長なんかは毎日役員部屋に呼ばれてましたからね。
経営陣にとっては、それはそれは本当にビックリな円相場の変動だったわけです。
でも、世のサラリーマンの方はわかるとおもいますが、とりあえず毎月のお給料が出ていれば問題無しなイチ会社員としては、そういう事態でも基本的にはいつもどおり勤務するだけなんですよね。
ほかの同僚と同様、まだぺーぺーだったぼくは、まだまだ新入社員時代の雰囲気をひきづりつつ、なんだか大変そうな仕事はふられないように(!?)がんばっていたんです。
じゃあ20代のときに経験した大きな相場環境の変化と言えば、なにが該当するのか?ってところですが、ぼくはこれは、2009年~2012年の民主党政権時代かな、と感じています。
米ドルやユーロの取引を主体にする機関投資家は、あまりこういう政権交代のときのことなんかは、印象としては強く残ってはいないかもしれません。
が、日本企業のファイナンス部門のスタッフとしては、円相場主体で取引をしているので、「自民党じゃない政党が与党」という事態は、ものすごく強烈な変化でした。
仲値公示の時間でさえ、ちょっとスタンスを変えなければいけなかったですからね。
このへんの話は↓こちらの記事にもっとちゃんと書いているので、もしよければ読んでみてください。
自民党が与党だと円安?政治とFXチャートの相関を見てみよう!
「担当として」の変化の感じ取り方はこっちのほうがインパクトがあったってことですよね。
そこまで大きな仕事を任せられてなかったぼくの業務範囲などは、小口案件の処理。
小口案件って、為替予約などナシに、毎日の仲値前後でレート確定するような仕事です。
そういう立場としては、つまりは短期トレーダー目線で見るような相場環境の変化のほうが、気になるわけです。
メイドインジャパンはスイスフランに通じる?
大空電機の社長の、社員からの信頼はとても厚いものがあります。
この大空電機は典型的な、技術力で勝負するものづくりの会社ですよね。
レンズを研磨する職人もドラマの中では描かれていますが、こういう職人の存在がいわば屋台骨になって、日本のメーカって世界にその名を轟かせてきたわけです。
メイドインジャパンというブランドですよね。
なぜ日本メーカが一時代を築くにいたったか?については諸説ありますが、大きな論調としてひとつあるのは、「大和民族の持つ手先の器用さ」だ、というものです。
今や寿司は世界的な「ジャパニーズフード」ですよね。
日本人ほど魚の食べ方に趣向を凝らす民族はいないかもしれません。
その魚を食べるという行為につかうのが箸ですが、日本人の手先の器用さは、この箸の文化と密接な関係があると言われています。
要は、焼き魚の骨を箸でひとつひとつ、丁寧にとり除いていく食文化が、世界で最もクオリティが高いと言われるような製品を生み出した、とも言えるんですよ。
これ、今、FXと全然関係ない話をしているようですが、「手先が器用」「実直」というあたりの点においては、じつは日本円とスイスフランの連動の話にもつながってくるんです。
EURCHF、通称ユロスイは、世界的にポピュラーな通貨ペアのひとつ
いったいどういうこと?と思われている方もいるかもしれません。
スイスって、山間部でとても精密な時計をつくる職人が多く働いている国です。
宝飾細工が元々盛んだったのがスイスですが、このへんは、国土の特徴がちょっと似ている点に注目するべきなんですよね。
どんな話かっていうと、日本もスイスも山あいの土地が国土の大部分を占めているという事実です。
スイスはアルプス山脈のイメージですよね。
このへんはイメージの話にはなってきますが、大陸の草原で狩猟をして生活をする屈強な民族と相対して、過酷な自然環境で限られたスペースに密集して生活する民族というのは、マインドが「内へ内へ」と向かうんです。
人と人との距離感が近い生活においては、コミュニケーション能力はより繊細に発達します。
また、身の回りのものを、とても丁寧に修理したりするようにもなります。
何せ、外は「風強すぎでしょ!」「雪ふりすぎでしょ!」的な状態なわけですからね。
環境がそうさせるわけです。
繊細なコミュニケーション能力はヒトの信用力を上げ、その影響もあって、スイスは世界に冠する金融立国になったのかな、なんてことを、ぼくはスイスフランチャートを見ながらたまに考えています。
スイスフランは日本円同様、不安材料が出たときによく買われます。
ぼくはやっぱり
ハゲタカでは、鷲津の人物像を、どこか「陰」のイメージをもってつくりあげていますよね。
これはストーリーからしてそうする必要があるんだとおもうんですが、これって今放映するにあたっては、どうなんだろう?という感じもあるんですよね。
このドラマを見た人が実際のところどう感じるかっていうのは、とても興味が湧くところです。
ぼく個人としては、鷲津のお金に対する考え方も、もうわりと浸透してきているんじゃないかな、とも思うんです。
「金儲けは悪いことですか?」という言い方はさすがにかなり高圧的ですが、「仕事はお金を儲けるためにするものだ」くらいならば、感覚として多くの人が表現しはじめている方向性なんじゃないかな、と。
この、「表現」というのがポイントなんですよね。
当たり前ですが、今も昔も、働くのは自分や自分の家族が生活するためです。
お金を稼ぐために仕事をするわけです。
でも、公の場では、「お金儲けがしたい」なんて言うことは、はしたないことなんですよね。
それは恥の文化が根づいているこの国において、ごく一般的な感覚じゃないですか。
それが、NISAで日本株が身近になり、不動産投資をはじめるサラリーマンもあらわれ、というあたりから、変わってきたんじゃないかな、と思うんです。
ぼくの職場でも、上下さまざまな年代の先輩、後輩と話していると感じます。
バブル世代でもなく、出世競争の激しい世代でもなく、言ってみれば、日々の生活を平和に楽しむような人が多い今の時代。
お金を稼ぎたいぞ!と大っぴらに言い放ったとしても、とやかく言ってくる人はすでにあんまりいないんじゃないかなと思うんですよね。
であれば。
であれば、ですよ。
ぼくは、やっぱりこれからも、自分の立場を、世間的に最大限アウトプットして、「FXでお金を稼ぎたい」という方の役に立ち続けていければな、とおもうわけです。
なぜならば、それが、ぼくの専門分野だからです(^^)
Dakar
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