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為替リスクに対しての企業の考え方
前回の記事では、ぼくの大仕事は、ドル円下落基調のときの大型案件で支払い期日を前倒しにすることだということを書きました。
そして、支払い期日によって支払いの割合が上下するとき、なるべく早い段階でたくさん回収しておく方向に尽力することだということも書きました。
ちょっとこれなんですが、こう書いたあと自分で記事を見直したんですよね。
それでおもったんですが、こう書くとぼく自身の仕事は伝わるかもしれないけど会社組織の為替リスクに対する向き合い方が見えないかなと。
なので今回は為替リスクに対しての企業の考え方と業務の全体感について書きたいと思います。
チャート変動とファイナンス部門
たとえば、日本の輸出企業がアメリカ向けに自社商品を輸出するときに、米ドル建てで契約が結ばれるとします。
この前提で考えると、契約に関しては米ドルで輸出価格が固定されるので、この当該輸出企業はそのときの為替相場や将来の予想に基づいて輸出・販売計画を立てることになります。
この場合、もし想定した水準を超えてドル円チャートが変動すれば、輸出による円建ての受取額が大きく変動し、差損や差益が発生することになるんですね。
もし差益が発生すればそれは自社の利益を増やす結果になるので誰も文句は言わないですが、差損が発生したならば良い顔をする人なんていません。
突然の通貨危機などでの差損は青天の霹靂として仕方ないこととして受け入れられることもあります。
が、基本的には大きな為替差損は当該企業のファイナンス部門がその責務を負うことになります。
コミュニケーションは大事!
この例で書いた「当該企業のファイナンス部門」にぼくは所属しています。
当然大きな差損を発生させて少したった後の社内の飲み会なんかではチクチクと嫌味を言われたりします。
あ、当然ですけど、そんな本腰の嫌味ではないですよ?
普段から他部署とのコミュニケーションを密にすることで、ダカールは日々良い仕事してるはずです( `ー´)ノ
本当に良い仕事してるかどうかは、これは本人が言うことではないですよね(^^;)
ちなみに「少したった後」というタイミングなのは四半期ごとの財務諸表がリリースされないと全社員に数字が知らされないからです。
話がそれましたね。
あわよくば
話を戻しましょう。
つまりは為替差損をできるだけ発生させず、あわよくば差益をもぎ取ろうとするのが外国為替チームの役割ということになります。
これ、ちょっとしたポイントなんですが、この「あわよくば」という点がミソです。
基本的にはぼくの仕事はリスクヘッジなんですよ。
為替感応度が異常に高い会社でも、決済に従事しているだけなのである限り、いち間接部門のスタッフの域を出ることはありません。
ぼくの手法の原点は自分の仕事なので、そういう意味ではぼくの手法は「FXで爆益を手にしたい!」という方より、「継続的に安定して利益を積み重ねていきたい」という方に向いているとおもいます。
もっと言えば、「できる限り負けトレードはしたくない」という方にはピッタリだとおもいます。
このマインドだと利益が劇的に伸びることもないですけどね。
本社機能が為替取引のすべてを取り仕切る
土曜日の日経に載ってましたが、最近は円安は必ずしも輸出企業の追い風にはなってません。
内実は逆輸入企業になっている会社がかなり増えたからです。
要は、自社の拠点を海外につくっているわけですね。
そこから内需対応で自社製品の輸入が増えると、円高のほうが都合がよくなるわけです。 pic.twitter.com/WKtNP6D4hP
— 大手企業為替担当DakarのFX雑記! (@111coffeeBreak) November 18, 2019
さて、活発な海外展開を行う日本の企業の輸出相手ですが、これは自社の海外現地法人になります。
海外の顧客向けに直接輸出するのではなく、一度自社の現地法人である販売会社に輸出し、同現地法人が現地市場に販売するというかたちをとるんですね。
自社の現地法人との取引なので、為替リスクを現地法人に押し付けるということはしません。
ホールディングス全体で見て、どのような契約通貨選択と輸出価格設定が効率的かという観点から、本社が世界中のグループ企業の為替リスクを一括して管理するんですね。
つまり、本社が集中的に為替の決済を行うんですよ。
この体制下で実際に実務が遂行されていくと、日々のチャート変動にどんな影響が出てくるとおもいます?
メガバンクも要注目
こういう体制下では、本社が一括して為替処理をするので、その当該企業の同時期の商取引が全て同じタイミングで決済されます。
こういう体制を敷く会社というのはいわゆる名の通った大企業ばかりです。
なので元々一件一件の取引における契約金額もかなりインパクトのある規模なんですね。
これはわかっていただけるとおもいます。
その上で、です。
その上で、今書いた通り、本社ファイナンス部門がそのインパクトある取引を数十件、数百件とまとめて外国為替取引を行うんです。
想像をしていただければわかるとおもいます。
もしこの当該企業が輸入企業であれば、その通貨交換は、メガバンクもドルを前もって用意しておかなければならないほどの一大イベントなんですよ。
まとめ
さて、いかがでしたでしょうか。
今回書いた内容はあくまで一般的な会社の為替取引なので、実際はいろいろなケースがあるという点は言い添えておきますね。
この記事、読んでみてあらためてどう感じました?
これがいわゆる実需の通貨交換の実態のひとつです。
日本企業においては、取引が執行されるのは東京時間になります。
ちなみにアメリカは自国通貨が基軸通貨なので、基本的に実需の通貨交換はあまりしないです。
あと仲値公示につながる話も少し書けたかなと。
最後の、銀行がドルを用意する話は、五・十日の午前10時前の米ドル買いの真相のひとつです。
Dakar
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