さて、今回は行って来いについてです。行って来いって、短期相場特有の言葉なんですよね。長い時間軸だと、すぐ帰ってくる感じがしないんでしょうね。あんまり日足とかでは行って来いとか言いません。短時間足が舞台なので、スキャルパー必見の記事になるかなと思います。ぜひぜひ、トレードにお役立てください(^^)
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目次
行って来いって何?
行って来いっていうのは、チャート形状の俗称です。
わかりやすく言ってみれば、つまりは「だっと上がってすぐにだっと下がった」みたいな相場のことなんですね。
これはもちろん、下落からはじまっても同じで、要は「だっと下がってすぐにだっと上がった」なんて相場のことも行って来いって言います。
冒頭のチャートなんかは後者なわけですよね。
こういう時によくトレーダーの間で話題になるのは、上がり始めだと思って買ったら「高値掴み」になってしまい、しまったと思ってすぐ損切った、なんて話です。
そしてこれまたよくあるのが、気をとりなおしてリベンジだと思って売りのエントリーで入った直後、はかったように今度は上がり始めるという、アレです。笑
こういうのを、昔も今も「往復ビンタ」って言います。
要は、2回エントリーしたその結果、どちらも完全に逆行してしまったというトレーディングですよね。
こういう負けトレードって、けっこう精神的にこたえるものです。
株の行って来い
行って来いは、よく英語圏ではフロントサイドとバックサイドという言い方をします。
これは株取引のほうが発祥なのかな?
トップに至ったらショートしろ、とよく言われますが、トップがどこなのかがわからないから大変なんですよね。
わかってれば苦労しないってのに((^^;) pic.twitter.com/kNGnw5fa1w
— 大手企業為替担当DakarのFX雑記! (@111coffeeBreak) 2019年4月10日
行って来いって、よく株式のトレードをする人もつかう表現なんですよね。
株では、会社Aの株が勢いよく買われた後に、即同じ会社Aの株が売られることで、行って来いの形状ができあがります。
これは、とてもわかりやすいですよね。
ぼくは株は全然くわしくないのでわからないんですが、株は、上昇の後に下落するパターンが多い気がしています。
株式のチャートは、ひとつの会社に紐づくので、当然、「ひとつの会社の株が」買われた後にすぐ売られた、と解釈できるんですね。
これは考えてみれば当たり前で、つまりはその会社への期待値が上がればチャートは上昇するし、失望感が強まればチャートは下落するわけです。
チャートの存在意義にレート提示なんて概念は無く、あくまでその会社が発行する株券の価値の上下を、チャートは示しているんですね。
それが株のチャートです。
そういう株のチャートにおいて行って来いの形状が見られるのは、寄り引けの時間がからむことも多い気がしています。
FXと違い、株式市場は1日の中に始まりの時間と終わりの時間が存在しますからね。
FXの行って来い
では、肝心要のFXの行って来いについて考えてみましょう(^^)
FXの場合の行って来いについて考察する時には、ひとつ、とても重要なことがあります。
それは、FXにおける行って来いは、1つの通貨だけの材料で起こることが非常に多いという点です。
「ん?また唐突に何言ってるんだ?」と思いましたでしょうか。
ちょっと不思議に思えたとしても、無理はありません。
なぜかというと、ここまでの流れで、チャートは期待値と失望感で上下するという話をしてきたからですよね。
でも、ちょっと待ってください。
為替のチャートは、すべて2つの通貨で成り立っているわけですよね?
ドル円は、米ドルと日本円の交換レートを示してくれているわけです。
こういう特徴を持つ為替チャートの動向を考えるためには、通常は、2通貨のその時の関係性をことごとく調べ上げてからトレードをするというスタンスが求められるわけです。
それなのに、ぼくは、FXにおける行って来いは、1つの通貨だけの材料で起きやすいと書いているわけです。
ではでは、ちょっとこのへん、掘り下げてみましょう(^^)
1つの通貨だけの材料?
1つの通貨だけの材料で起こることが多いという意味は、例えばドル円ならば、日本円だけの材料で行って来いが完結するか、もしくは米ドルだけの材料で行って来いが完結するか、どちらかになることが多いということです。
これは短期相場ならではの話ですよね。
長い時間をかけて上下動したチャートというのは、その間にさまざまな材料が当該チャートをつくる2通貨双方に出た結果、かたちづくられることになります。
もちろん、結果的に、その大きな上下動が片方の通貨のみによってつくられていたなんてこともあります。
が、長時間足に関しては、このへんの話を断定的にまとめることはできないんですよ。
でも、短時間足の行って来いは、明らかに1つの通貨の材料で完結するんです。
ほぼこう言い切れるのには、ワケがあります。
それはずばり、短時間足の為替相場における行って来いは、ほぼ必ず、実需勢の莫大な資金量による取引が影響しているからです。
FXと実需について|東京時間のドル円がレンジ相場になりやすい理由
投機筋の暗躍がかなり関係しているんじゃないか?と思っていた方は、ちょっとびっくりしたかもしれませんが、これは事実です。
ブルームバーグのプロフェッショナルサービスなんかを見ると、このことは統計的に明らかなんですよ。
まぁ、ヘッジファンドの仕掛けも、定期的に必ずあるんですけどね。
悪賢い戦略で特徴的なチャート形状をつくることが多いから目立つだけで、じつは、行って来いをつくりあげるようなファンドの仕掛けは、実需よりも回数、規模両面でかなり劣っています。
ヘッジファンドの仕掛けによる行って来いについては、番外編として後述します。
行って来いは5種類
統計的にも行って来いは、実需勢の影響が色濃いことがわかっています。
なので、この話はぼくが平日昼間、実需筋の張本人である点、けっこう本質的なことをお伝えすることができるかなと思っています。
実需勢の影響ということは、つまりは買い切り、売り切りの取引がチャートを動かしているということですね。
ぼくはこれは、大きく5つあると感じています。
経済指標
まず、経済指標ですよね。
経済指標は、行って来いのトリガーになりえるんですね。
経済指標の結果を受けて、さまざまな世界中のディーラーがポジションをとった後、実需勢の巨大なオーダーにひっかかって即逆行、なんて相場はよくあります。
ぼくが知っている範囲でちょっと書いてしまうと、とあるフランスの大手保険会社は、米雇用統計があった直後の「最大限注目するべき指標」が発表されたちょうど2時間後に、「指標結果に順ずる方向」に一定量の玉をつくるらしいです。
これ、ひょっとしたら知っている方もいるかもしれませんね。
つまり、会社の決まりごととして、そういう取引のルールを定めてしまっているということですよね。
こうやって書くと、この情報はけっこうトレードに有効な情報のようにも思えるじゃないですか。
でも、これは直接的につかえるネタではありません。
ぼく的には、相場環境認識のためのひとつの武器、くらいの感覚です。
なぜかっていうと、「最大限注目するべき指標」ってあたりの話ですよね。
このフランスの会社が言う「最大限」というのは、あくまで自社内で定めている格付けなんですよ。
何をもってして「最大限注目すべき」(=the most remarkable)と格付けしているか不明ってことですね。
例えば、生産者物価指数のPPIを、この会社が「最大限注目」しているかどうかは、謎ってことです。
要人発言
次に、要人発言というきっかけです。
要人発言時の行って来いのタイミングについては2つですね。
1つは、要人のインタビューなり記者会見なりがはじまる時。
そしてもう1つは、要人が話しているときに、その話す内容のメインになる事象について切り込み、何らかの新しい情報を発信した時です。
この際は、予期されていなかった話に言及すると、ボラはより大きくなる傾向があります。
ぼくは、要人発言について↓こんな記事も書いてます。
FXトレードでは要人発言をおさえよう|中央銀行と為替の値動き
この記事では、予想とちがった展開の発言があった場合についてや、フライングで先走るチャートについて書いています。
わりとこういうことを知っておくことは重要なんですよね。
なぜかっていうと、トレードプラン通りにうまく値動きが進んでいかないことも多い中では、「そういうこともある」という認識の仕方が、トレーダーとしても器そのものだからです。
窓が埋まりそうで埋まらない
「埋めない窓はない」けど、問題はいつ埋まるかですよね。
いつか埋まると思い待ち続けた結果、気づけば1週間たっていたなんてことも。
スキャルでのエントリーならば、損切りは迅速に。
窓を利用したトレードは、資金効率を考慮に入れましょう。 pic.twitter.com/8yX97R291C
— 大手企業為替担当DakarのFX雑記! (@111coffeeBreak) July 30, 2018
これもあるあるパターンです。
ぼくはよく、「窓が埋まらないということはないけど、問題はいつ埋まるか?」だ、という趣旨のことを言っていますよね。
週の出足からザラ場を監視していたら、一見すぐに窓を埋めそうな動きに見えたんだけど、昼くらいまでには完全に逆行していたなんて相場はよくあります。
先週の水準から、週明けに下方向に窓ができたのであれば、その後に上がってから下がるような展開ですよね。
一度は上がって、窓埋めになるかと思いきや、埋めないまますぐに下がってしまうような相場ってことです。
どうでしょう?
イメージできますでしょうか?
こういう時間感覚は、短期のザラ場監視トレーダーならではのものだと思います。
株式市場の寄り引け
たとえば株との相関。
豪州/東京/ロンドン/NYと4つの市場を考えてみます。その場合寄りと引けの時間を「注目する時間」と考えると1日に8回そのときはやってきます。つまりFXでスキャルピングをするチャンスが1日に8回もあるってことです。 pic.twitter.com/EayWjLrj6z
— 大手企業為替担当DakarのFX雑記! (@111coffeeBreak) June 14, 2018
株式市場の始まる時間、終わる時間も、キーポイントになります。
常に一定量の取引をしなければいけない実需筋の特徴ですよね。
要は、値幅を抜くトレードが最終目的ではない以上、決められた期限内に資金を投下しないといけない実需筋は、ある程度こうしてルール化して取引に邁進していく必要性があるわけです。
最終的には「マイナスにならなければいい」くらいの甘い取引目標の会社だってあるってことですよね。
イメージしにくいですかねー。
例えば車の保険ですよね。
毎年、18才を迎える人は出てくるわけですよね?
そうなると、これまた毎年、車の免許を取る人は全世界で現れるわけです。
ということは、またまた同様に、毎年、自動車保険に加入する人が全世界で現れるわけです。
であれば、積極的に為替市場で運用することをPRしている保険会社Aの玉も、毎年一定量が相場に投下されますよね。
これは、そういう話なんですね。
テクニカル要因
最後に、テクニカル要因ですね。
テクニカルが働いてそこでターンしてしまい、結果的に行って来いのかたちになる、というパターンですよね。
上のチャートの場合は、ピボットのレジスタンスラインが反応した行って来いです。
ちょうど添付チャート画面の中央らへんですね。
クリックして拡大してもらうとわかるとおもいますが、Resistance1 と書いてある点線に反応しています。
このかたちは非常に単純な構造で、元々相場で注目されているピボットというテクニカルが強く意識されて、上昇トレンド相場において良い利確のタイミングになった、という構図です。
これは実際のぼくのトレード画面なんですが、ボリンジャーバンドを出していますよね?
上昇トレンドだったから、ボリンジャーバンドを出していたんですね。
ちなみに、冒頭のチャートもこのテクニカル要因です。
冒頭のチャートは、移動平均線をまたいで、下落方向に行って来いが見られた展開ですね(^^)
行って来い番外編
スペキュレーションで出来上がる行って来いのかたちの、一番の特徴は、「動き出し」も「戻り」も、人工的につくられる値動きになるという点です。
なんと言ってもこれに尽きます。
正直、予測不能ですが、どうにかその動きを察知するための努力をしてみたいようであれば、一応この記事が参考になるとは思います。
読んでみてください。
この場合の行って来いは、イベントドリブンと言って、ヘッジファンドが得意とする戦略のひとつですよね。
要は、おもいっきり投機マネーで動かされる展開です。
上の記事にも書いていますが、常にこの動きだけを狙っていても、資金効率が悪いです。
頻度は実需勢による行って来いに比べると、少ないからですね。
ただし、非常に特徴的な相場になるので、参考までに、番外編として書いてみた次第です。
行って来いからテクニカルへ
行って来いが多いチャートの移動平均線は、動きがあまりありません。
こういうチャートは、投機的な仕掛けが多いか、単に薄商いの相場です。
前者はロンドン時間のレンジのポンド、後者は祝日の当該国通貨チャートとかですよね。
移動平均線がヨコヨコならば、オシレータ系が使えたりしますよ。 pic.twitter.com/Gf2Md5jet2
— 大手企業為替担当DakarのFX雑記! (@111coffeeBreak) February 14, 2019
最後に、行って来いの形状に慣れてきたらぜひご自身の戦略に取り入れてみてほしいトレーディング技法があるので紹介します。
それは、テクニカル使用中の気づきです。
例えば、移動平均線って、基本はトレンドの転換点や継続しているトレンド相場においてエントリーポイントを探るためにつかうものですよね?
でも、そんな移動平均線でも、どうしてもなかなかうまく機能してくれないときもあるわけです。
そういう展開の中のひとつに、「移動平均線がヨコヨコになってしまう状態」がありますよね?
こういうときにどう考えるか?というのは、じつはトレーダーとしては腕の見せ所なんです。
「移動平均線がつかえないな、しょうがない、トレードはお休みだ」
と考えてしまうか。
それとも、
「なるほど、こういう感じね。ということは、発想を変えて、あのやり方ができるかも。」
と考えられるか。
もちろん、後者のほうが断然良い利益率を体現できるわけです。
そのひとつの具体的な策が、ヨコヨコの相場を、「行って来いの連続」ととらえるというものです。
行って来いって、本来もっとがっつり上がって即落ちる、みたいな展開ですが、考えようによっては、こういうヨコヨコの相場でも、時間足をもっと長くすれば、行って来いの形状になるわけです。
この気づきを得ることができれば、行って来いを攻めるという戦略を打ち立てて、相場に挑むことができるようになるわけですね。
まとめ
さて、いかがでしたか?
実際のところ、勾配がこのくらいの角度になったら行って来いと言える、とか、ローソク足の本数がこのくらいで帰ってきたら行って来いと言える、とか、そんな明確なルールなんてものは存在しません。
行って来いっていうのは、あくまでチャート形状を見てそういう感じに見える、という状態のことを言っているに過ぎないからです。
こういう感覚的な言葉っていうのは、リアルタイムで相場を見ている人間の間では、非常によく飛び交っているワードなんですね。
こういう言葉こそ、初心者トレーダーとベテラントレーダーの間で感覚に差異が生じてくる言葉になります。
今回は5種類に行って来いを分けて説明してみたわけですが、これだって、きっと他のどんなサイト、本を見ても、こんな風に分けているトレーダーなんていないと思うんですよね。
なのに、今回あえて書いてみたのは、それだけこの言葉に興味を持ってもらいたかったからです。
無理矢理にでも感覚的なことを落とし込んでいくと、また見えてくる世界ってあるとおもっているんですよね。
そうなってきたら、もう後はわりとトントン拍子に相場分析が進んで行ったりするものです。
そのうち、東京タワーを見てもエッフェル塔を見ても、「行って来い」のチャートに見えたりしてきます。
三十路に突入したくらいの時、ぼくは出張で訪れたパリで、そんな感覚を覚えた時があったので。
もう連日為替チャートを見過ぎてて、頭の中が「チャート脳」みたいになっていたんでしょうね(^^;)
Dakar
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