実需とFX

大企業が設定する採用レートとドル円チャートについて

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海外出張旅費の精算なんかのために、多くの企業は決まった外国為替決済のレートを設定しています。これは定期的に更新するもので、企業によって2週間毎、月毎、2か月毎とその更新のタイミングはさまざまです。毎日変更するなんて企業は、まずないんですよね。じつはこんな話にも、円相場をFXで攻めていくためのヒントが散りばめられていたりします。それは、いったいどんな材料なんでしょうか(^^)?

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メガバンク担当の独りごと

今回の話は、メガバンクの担当者の話からはじめると書きやすそうなので、職場でのぼくの実体験からスタートです(^^)

ぼくのブログをよく読んでくれている方々はご承知のとおり、ぼくの勤め先は製造業なんですね。

為替取引を行う上では、いわゆる実需筋にあたることになるので、メガバンクの担当者は定期的にぼくの勤め先に顔を出しているわけです。

営業マンとして、ですよね。

もちろん、こちらが顧客なのでそのルーチンが存在するわけですが、一方で彼らも、うまーくその立場を利用してこちらの動向に探りを入れてくるわけですよ。

業界のウラ話

こういう話は昔からの業界のしきたりみたいなものなので、

「そんなものなんだな」

と考えてほしいところではあるんですが、彼らがわりとちょくちょく言ってくるのが、

来月の採用チャートは○○円くらいですかね~」

みたいなことでして。

ホントに、さらっとつぶやいてくるんですよ。

急に声のトーンが高くなったりして。笑

バンカーの実態

もちろん彼らも、その話をすることが企業訪問の本来の目的ではないということは十分にわかっているから、それは単なるつぶやきの体になるわけです。

そこは間違っても、

「本行としては、御社の次月の設定レートを提供していただきたいと思っています。」

というようなスタンスにはなりません。

でも、一方で、彼ら銀行の3大業務のひとつは、預金業務。

ウェルスマネジメントにおいては、為替動向が顧客の資産の上下動に大きく関与してくるわけです。

あ、採用レートっていうのは、社員が海外で支払う外貨を円貨換算する時のレートのことです。

表の顔とそれ以外と

彼らが上司から受けている指示は、あくまで

「為替取引をしてくれている顧客のところへ顔を出してきなさい。」

なわけです。

それこそ、大卒新人が指導員といっしょに来るときなんかは、もう完全にそういう体の顔で来るわけですよ。

そういうフレッシュマンは、実際はお互い持ちつ持たれつということを、帰路に立ち寄ったドトールとかで指導員に聞いたりするわけです。

そうやって、話し方とかを身に着けていくんですね。

こういう話は、長年この業界にいると聞こえてくる話なんです。笑

注目!これが採用レート

例えば、多くの企業の翌月の海外出張旅費のドル円の採用レートが155円だったとしますよね?

足元では155円を上回っていたとします。

このケースで、月をまたぎ、ドル円が155円の水準よりも下落したとします。

現在は、多くの企業の給料日は20日か25日なので、旅費精算を給与振込とするならば、タイミングとしてはその近辺。

各々の社員が海外で立て替えた分をいっきに日本円として会社が支払ってあげるわけですね。

この場合は、会社は社員が海外で支払った額面に対しては得をすることになります。

どうでしょうか?

なんとなくイメージつきます?

常に社内レートを上回る相場

一方で、為替相場の話です。

話がこれだけなら、企業としては海外出張旅費を日本円で社員に払ってあげるだけなので、その当該企業がドル円チャートになんらかの影響を及ぼすなんてことにはなりません。

そこに、為替取引は生じないですからね。

でも。

でもですね。

例えばドル円が上昇している局面で精算を続けると、会社は会計上、どんどん損をするんですよ。

つまり、足元の実勢レートが社内レート、つまり海外出張旅費を円貨換算する際の採用レートを上回る状態が続いているわけですね。

膨らむ為替差損への対処法

そのような場合は、年度末に為替差損の数字がかなり膨らむことが予想されるわけです。

例えばこういう時、ステークホルダーからの

「見え方」

に配慮して、経営陣が期中に為替差損の数字を改善させることを望んだ場合。

そんな場合は、一定規模の海外発注を前倒しで執行したりするんですよ。

ぼくの勤め先はメーカーなので、わかりやすくその発注の内容というのは原材料や部品であることがほとんどです。

ドル円上昇を前提にしているから、発注を早めることで買い物としては為替差益を得ることができるわけですね。

まとめ

もちろん、ドル円が今度も上昇するとは限らないから、あくまでそのタイミングでの発注額はある程度おさえた規模にはなります。

でも、同様の会計処理をすることが、とある業種において慣例のようになっていたら?

そのボリュームって、なんとなく想像していただけるかなと思います。

円相場が大きく下落しているタイミングで、わりと日経新聞とかが実需筋の取引を取り上げたりするのは、こんな事情もあるわけですね。

メガバンクにも横のつながりがあって、銀行同士でなんとなく同一の業種の動向は追っているんですよ。

あまり書き過ぎるとよくないので、今回の記事の掘り下げはこの程度にしておきます。

が、実需筋のこんな会計処理上のテクニックが、円相場を動かすことがあるということも、知っておいて損はないと思いますよ(^^)b

Dakar

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